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自分×挑戦

社会福祉法人 ながのコロニー
米澤 勉(入社3年)

DTPの世界でもっと上へ、もっと先へ

「私なんてまだまだです。これからデザインについて技術も知識も高めて行かなければと思っているところなんです」

2009年茨城県で開催されたアビリンピックに長野県代表としてDTP部門に出場した米澤さん。社会福祉法人 ながのコロニーの長野福祉工場で紙媒体の制作を担当するDTP技術者だ。
その語り口調はとても穏やかで、ご自身の仕事に対する姿勢は非常に謙虚。しかし、お話をお聞きする中でプロとしての誇りとより高いレベルを目指す向上心が見え隠れし、丁寧に発せられた言葉とやわらかな笑顔は内に秘めた熱い想いの裏返しなのだと次第に気付かされた。


“できること”をプロとしての仕事に変えて

色使いも印刷物の印象を決める大事な要素

学生時代、アルバイト中に事故に遭い、義足での生活が始まった。

「今の自分にできることは何か?」と考えていた時に出会ったのがワープロでの文字入力作業だった。最初は限られた世界でしかなかった“できること”は、経験を重ねていくなかで次第に技術者として臨むDTPという仕事に変わっていった

DTPとは印刷物の編集作業をコンピュータで行うことで、文字・写真・イラストなどの配置や色使いを工夫し情報をわかりやすく表現する仕事だ。コンピュータソフトを使いこなす能力や、人々の目を惹き付けるデザインセンスが要求される。
依頼人の意向を汲み取りながら自身の世界観やこだわりも加え、世界でたった一つの制作物を生み出すまさにプロの成せる業である。米澤さんはその厳しい世界に自ら足を踏み入れ、技術者として生きる道を選んだ。


突然のアビリンピック参加で得たもの

2009年10月に行われたアビリンピックにて競技中の米澤さん

「近い将来の目標として、デザイン性が高く、アイデアや個性を出せる制作物を手掛けたい」と考えていた米澤さんに、入社3年目にして突如アビリンピック参加の声が掛かった。あまりに突然で、しかもDTP分野では勉強不足だと感じていただけに戸惑いは隠せなかった。しかし本人の気持ちとは裏腹に見事県大会を突破。全国大会へと歩を進めたのだ。

準備が万全とは言えぬ状態にも関わらず代表枠を勝ち取ったのは米澤さんが日々の業務に地道に取り組んできた努力の賜物であろう。そしてアビリンピックという競技の場では、限られた時間の中でDTPデザインの課題に取り組んで初めて気付けたことがあったと言う。

自身のスキルや慣れた手順を改めて認識し、制作物に対する客観的視点の重要性も競技を通して思い知った。そしてより高いレベルを目指そうという気持ちが以前にも増してあふれてきたのだ。


制作の現場に立つということ

赤文字の指示を正確に拾い、データを修正

取材に訪れた日、米澤さんの手元には赤字の修正指示が入った原稿が届いていた。一つ一つの指示を正確に読み取りデータを直し進める。同時に10近い案件を抱えることもあるというが、全体の進行管理を行い気遣ってくれる上司と、時に支え合い切磋琢磨する仲間に恵まれ充実した日々だと言う。

DTPの醍醐味のひとつはパソコンの画面上のみの存在であったものが、最終的に紙媒体として人々の手に渡り、形となって残ることだ。そしてそれらの制作物は、例えば文字一つとってみても大きさ・太さ・スタイル・色・配置など無数の要素で構成され、まるで手掛ける人間の育て方次第でどのようにでも成長する生き物のようなもの。
その途方もなく広く深い世界に米澤さんは魅了され、いつか「お任せで」と依頼されるような実力あるDTPデザイナーになりたいと目標を掲げる。

手強いから挑む価値がある。大きな世界にいるからこそ、見えるものも関わるものも増える。
そう考える米澤さんの気持ちがぶれることはない。苦労したら、その分だけ刷り上がったものを手にした瞬間の喜びが大きいことはこれまでの経験でよく知っているのだから。


経験することで見えてくるものがある

パソコン意外の知識や作業も必要とされる

事故で失った両足。ワープロ・文字との出会い。印刷物との関わり。そしてDTPという世界へ。
今振り返ればきっかけはとても小さく、始まりは偶然の一言で片付けられてしまうものなのかもしれない。けれどあの時の自分があるから今があるのだという現実と、その道を選び取り懸命に歩んで来たのは紛れもなく自身であるという事実を米澤さんは知っている。

また、先を見据えて上を目指すことは簡単ではない。けれど何を始めるにしてもまず覚悟や夢ありき、とは限らないとも思っている。「仕事も遊びも経験することで初めて見えてくるものがあると思います。だからまず何事もやってみることです」と米澤さん。

遠くから眺めていても何も見えて来ない。自分から関わることがその後の人生を変える第一歩になるかもしれない。
そこに立派な理由や夢はなくたっていい。成功か失敗かという結果なんて求める必要もない。ただ自分が生きる世界と視野をどこまで広げられるかということ。それは仕事を通じて人生をどう楽しむか? ということでもあるのだと米澤さんは教えてくれる。


社名 社会福祉法人 ながのコロニー 長野福祉工場
代表 理事長 稲玉三雄
設立 1960年
事業内容 印刷全般(会社案内・営業案内・PR誌・カタログ・ポスター・チラシ・DM・POP・記念誌・紀要・自伝・論文集・年鑑・写真集・社内報・会報・機関誌・誌・自費出版物・案内状・はがき)
従業員 97名
住所 〒381-8580 長野県長野市大字徳間1443
TEL 026-296-1411
FAX 026-296-5957
URL http://www.nagano-colony.or.jp/