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今や社会生活になくてはならない携帯電話やパソコン、デジタルカメラ。
たとえば、これらの液晶ディスプレーを作るには、ただガラスをはめ込めばいいわけではない。
何百分の1ミリのずれさえない精密なガラスが必要なのだ。
今回登場いただいた三井さんは、その精密な平面加工技術を得意とする株式会社ニットーの中堅技術者。ガラスからセラミックス、特殊樹脂まで、ミクロの世界で素材を削り、磨く、その難しさや魅力について伺った。
小さな頃からお父さんと工作をするのが大好きだったという三井さん。木工の船やライトプレーンに始まり、小学生の時には簡単なラジオも組み立てていたそうだ。その後、高校の機械科、工業大学を経て、技術者への道を歩んできたのは、ものづくりの喜びを体で知っていた三井さんにとって、ごく自然なことだったのかもしれない。
今、担当しているのは試作品の製作とテスト。
つまり、会社で扱っている液晶パネルや特殊フィルターを工場で量産する前に、どんな作業をすれば求められる製品ができるか、より良い性能のものができるか、高いレベルで分析・調査していくのが仕事だ。
量産された後に出てきた問題点を、改善することも大切になる。
「要求されるスペックをクリアできた瞬間は『やったぞ!』と思いますね」
入社7年目。クールにも見える落ち着いた雰囲気の彼が、その言葉と同時に見せてくれた笑顔と小さなガッツポーズに、仕事に対する真摯さと厳しさ、そして仕事を続ける原動力が見えた気がした。
ケータイやデジカメに使われる液晶パネル、光学フィルター。これらを作るときは、材料のガラスや樹脂をどこまで平らにできるかが重要になってくる。
見た目はまっすぐでも、マイクロスコープでしか見えないような小さな歪みが、最終的な製品の性能を左右するからだ。
そこで行われるのが「磨く」作業。
ファンデーションのように細かい粉を水で溶き、研磨機のパッドでこすりながら、丁寧に丁寧に磨きあげ、ミクロレベル以下のデコボコを失くしていく。
「1回の試作品を磨くのに、たとえば特殊フィルターのガラスだと1時間くらいかかります。粗い研磨剤を使えばもっと早く仕上がるんだけど、それだとキレイになりにくいから…」
日に何度も工場の研磨機と向かい合う三井さん。モニターを見ながら、かける圧力や研磨剤の温度など、さまざまな条件を整えていく。量産品を扱っているわけではないので、時間よりも出来上がりの品質が勝負。納得のいく製品ができるまで、1年以上の試行錯誤を繰り返したこともあるそうだ。
磨きあがったものは、自分で検査まで行うのが基本。暗室で光に透かし、さらにマイクロスコープを使って、表面を注意深く見ていく。「フォトマスク」と呼ばれる電気回路パターンの焼き付けベースを作る時には、オングストローム(100万分の1ミリ)という単位まで拡大して、突起や陥没をチェックするというから、研磨の技術者に要求される精度はものすごい。
小さい頃からの工作好きが高じてか、プライベートでの趣味はバイクやクルマ。休日には高校時代の仲間たちと、愛車のZRXでツーリングに出かけるのが楽しみだそうだ。上司の馬場課長も実はクルマ仲間で、入社当初から一緒にサーキットに行くこともあったとか。
仕事から興味を持ったデジタル一眼レフにも、今はどっぷりハマっているのだという。
「繊細で、深く突っ込んで仕事してくれるので、安心して任せられる」と、先輩からも評価が高い三井さん。「バイクや車もそうだけど、自分で何かをいじる愉しみを知っていることが、仕事にも生かされているのかな」と馬場課長は笑う。「欲をいえば、スピードアップが今後の課題ですね」。
「これからも多くの経験を積んで、仕事の最初から最後まで通じられる技術者になりたい」。
研磨の前後には、ラップという粗加工の過程や超音波振動による洗浄工程などがある。その全体の流れをしっかりと把握するプロフェッショナルは、研磨の世界をさらに精密なものにしていけると、三井さんは訥々と語る。
今後、さらに進化するだろうケータイやパソコン、デジカメの世界。完成された製品が店頭に並ぶ時、その裏にはどこかできっと、彼の細やかな技や目が関わっているはずだ。
| 社名 | 株式会社ニットー |
|---|---|
| 代表 | 代表取締役社長 牧 恵一郎 |
| 設立 | 明治10年 |
| 事業内容 | 超精密平面研磨加工・切断面取外径加工、液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、フィルターガラス、特殊ガラス・セラミックス・金属・プラスチック・特殊樹脂 他 |
| 従業員 | 250名(平成21年現在) |
| 資本金 | 4800万円 |
| 住所 | 〒382-0051 長野県須坂市大字八重森2-2 |
| TEL | 026-245-0637(代) |
| FAX | 026-245-9388 |
| URL | http://www.nitto-gr.co.jp/ |