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自分×技能

市川精機
高橋丈洋(入社15年)

マイクロメートルレベルで研削の精度を追い求めていく。

通常、1分間に2000から4000回転する車のクランクシャフト。クランクシャフトの軸やアームの部分にぶれがあれば、回転数に耐えられず、車の性能や寿命に大きく関係する。このため、回転抵抗に耐えるクランクシャフトは、高い精度が要求される。 クランクシャフトは、ぶれを抑えるために加工段階で研磨をされ、精度が高められていく。こういった研磨加工には専用の加工機械が用いられるが、加工機械が高い精度で研磨をおこなえるのは、研磨加工を担うホイール部分の精度が高いからだ。
現在、これらのクランクシャフトの研削に使われているホイールは年々高精度の要求が高まってきている。それは研削のスピードアップによるものである。
ホイールは1分間に6000から8000回転でクランクシャフトの研削に使われるため、ホイールにぶれがあっては研削精度に大きな影響を与えてしまう。最近では、600ミリメートルもの大きな面における公差が5マイクロメートルという信じられない誤差での精度が要求されている。
市川精機では、自社内では初めての試みであったこれらの加工を5年前から始めた。このプロジェクトに果敢に立ち向かい、多くの困難を乗り越えてきた、市川精機の高橋さんに、マイクロメートルレベルで研削精度を追い求めていく難しさや醍醐味をうかがった。

※1マイクロメートル・・・・・1/1000ミリメートル(1/100万メートル)


社内では前例のない、マイクロメートルレベルでの研削加工に挑戦

精度を検査

マイクロメートルレベルでの研削加工という領域が、社内では前例がなかったため、プロジェクトをまかされた時は戸惑いを感じたという高橋さん。
3年前の12月、メーカーに品物を持ち込んでのテストトライでは、なかなか精度が出ずに急きょテスト期間を延長し、なんとか製品としての開発が可能であることを確認した。
年が明けて、初の加工物件を任されたが、当時としては5マイクロメートルの内径公差を要求され、右も左もわからない状況で加工に入ったという。加工機械の“くせ”などもまだまだつかめていない段階だったため、何度もトライ&エラーを繰り返し、製品を仕上げていった。
あれから3年、現在では加工機の“くせ”や金属の温度差によるぶれまでも考慮し、加工ができるようになった。


「製品としてカタチになり残る、誰かの役に立つ」ことに魅力を感じた。

もともとモノを作るのが好きだったという高橋さん。子ども時代には、ものを分解し、そして組み立ててみるといったことをたくさんやっていたという。なかなか組み立てなおすということはうまくいかないことも多かったようだが、モノと接する機械が多い少年時代を過ごしていた。
高校は商業系出身だったが、就職する段階になって、製品としてカタチになり残る、それがお客さんの手に渡って世の中の役に立っているということに、ものづくりの魅力を感じ、製造業に飛び込んだという。


精神的にも追いつめられる、マイクロメートルレベルでの研削

必要であれば、上司や仲間と相談し問題解決に臨む

普段は5マイクロメートルという範囲での寸法公差要望が多い中、内径3マイクロメートルという寸法公差を求められたときがあった。温度差によって寸法公差の範囲は変わるため、加工機械による温度差が考慮された加工が可能だが、実際の温度や湿度などの条件が変わったとき、これ以上にぶれが出てしまう場合があるという。
こういった難しい問題に直面したときの解決方法としては、「砥石を変える」「加工方法を変える」「数値条件を変える」などがある。ただし、新しい砥石はメーカーへの発注が必要になるため、納期を考えた場合なかなかとれない手段であるとのこと。

その場合は、「加工方法を変える」「数値条件を変える」などで対処するわけだか、これが何度やってもうまくいかず、徹夜で条件変えを行ったり、上司や仲間、メーカーに相談をしたりするなど、さまざまな手を使って問題解決を行ってきたという。時には仕様外のオペレーションを行うことで問題解決が行われたこともあった。

うまく行くかわからない状況でのマイクロメートルレベルでの追い込みは、精神的にも追いつめられるという。うまくいった時でも、納期の問題で、なかなかその喜びの余韻には浸れず、ほっとする時間もないようだが、これまでこういった難しい問題を解決してきたという経験が研削への自信につながっているという。


日本人の心や思いやりがカタチになって表れるのがモノづくりの良さ

「難しいことを難しい顔をして、難しそうにやるのではなく、難しいことをふつうにやってのける職人がかっこいい」という高橋さん。自分はまだまだだと語るその姿勢は謙虚だが、オペレーション中の、迷いのない動作には、信じる道へ突き進む人間としての強さが感じられる。先輩や年代の近い同僚にも刺激を受け、着実に新たなステージを手にしていると感じた。

最後に、これからものづくりを目指す人へのメッセージとして、「ものづくりはカタチにのこる、いいものができれば、お客さんや世の中の役にたてる、日本人の心や思いやりがカタチになって表れるのがモノづくりの良さ、寸法でも見た目でもなんでもこだわりをもってものづくりをすれば、自分自身も磨かれていきます。」と笑顔で語ってくれた。


社名 株式会社市川精機
代表 市川 進一
設立 1972年
事業内容 一般機械加工、ロー付加工、レーザー溶接加工、工業用ダイヤモンド工具加工全般
従業員 60名
資本金 9,430万円
住所 〒381-0025 長野県長野市大字北長池2018番地1
TEL 026-244-4790(代表)
FAX 026-244-3003
URL http://www.ichikawaseiki.co.jp/