ホーム > WAZACANインタビュー > 自分×技能 > 清原達也・小原裕輔
1984年、東京・調布に最初のお店が開店。それから代々引き継がれている自家発酵の自然発酵種がある。
たくさんのスタッフの手でかけ継がれること26年。長い年月を経て育った酵母は、今もなお大切に引き継がれ、パンとなっていく。
ルヴァンだけにしかないその酵母をより生かして、おいしいパンをお客様に届けること。
そしてパンを通して健康な日々を送れるような食事を提供すること。
それがルヴァンのパン作りである。
そんなルヴァンのパンを求めて、全国からたくさんのお客様がやってくる。
蔵造りの建物の中は、カゴに盛られたしっかりとした焼き色のパンの芳ばしい香りがたちこめる。
噛みごたえのあるどっしりとしたそのパンには、作り手の想いもぎっしり詰まっている。
「パンはいきものだから、それに合わせて生活している。それがまた楽しい」
そう語るルヴァン信州上田店の清原達也さん、小原裕輔さんに、パンとともに暮らす日々、これからのことについてお話を訊いた。
自然発酵種・・・市販のパンのイーストの役割を果たすいわゆる天然酵母
かけ継ぎ・・・酵母に小麦、水、栄養を与えて発酵させ、菌の働きを活性化し発酵力を保つこと
グラム単位で量り売りもできるパンは、できるだけたくさんのお客様に食べてほしいから
ルヴァンのパンはシンプルだ。
国産小麦、水、塩。そこに必要なだけの具材を入れたのみ。
シンプルゆえに、パンには人柄が表れる。その作り手のパンの形がある。
作り手の気持ちにはじまり、お店の空気すべてが、焼きあがってきたパンに色濃くあらわれるのだという。
スタッフは、広告代理店での勤務や営業職、世界38カ国を巡ったりと様々な仕事や経験をした後にルヴァンに出会った人が多く、みな個性的だ。
パンもスタッフも各々とても強い個性を放っているが、そのすべての個性がひとまとまりになっており全く違和感を感じることがない。
それは、オーナー甲田幹夫さんやカンパーニュというパンのどんな人も受け入れる人柄によるところが大きいのだそうだ。
自然とそこにある。
パンも人も。すべてがルヴァンを形作っているのだ。
今は販売をメインにしている小原さん
沖縄で農家民宿を開くという将来の夢を語ってくれた
酵母は自然と同じで、日々違うもの。
季節によってかわる酵母と向き合って、対話をしながら作ったパンがおいしくできた時、パリッと芳ばしくふわっといいパンにあがる。
そういうパンができた時が一番うれしい時と小原さん。
小原さんがルヴァンに入ったきっかけは、沖縄にある。
大学を出て広告代理店に5年間勤務。旅先の沖縄でパンと農家のお店に出会う。
もともと自然や旅が好きだった小原さんは、「セカンドライフからでは遅い」「自然に近い生活をしたい」という気持ちを曲げることができずに、パン職人に転身。
そして、もっと技術を学びたいと調べた時に甲田幹夫さんのパン作りに出会った。
「目的は、人に平和や幸せ、健康を与えることであって、パンはそのための手段である」
普通のパン屋にはない考え方に「なんだこの人は!」と衝撃を受けたという。
それから4年。パン職人から販売まですべての仕事をこなす小原さん。
「ルヴァンでは、パン作りだけでなく、生き方までも教わった」
そして近い将来、沖縄で農家民宿を開き、ルヴァンで学んだことをすこしでも表現していきたいのだそうだ。
数ある天然酵母パンの店舗。都内のその多くはルヴァンのスタッフや研修を経て開店した人なのだという。こうやって、またひとつまたひとつと、ルヴァンの想いが繋がっていくのだろう。
黙々とパンを焼き上げる
清原さんの作るパンは、小原さん曰く「包み込むようなパン」
清原さんがこの道に進んだきっかけ。それはものや人との「距離」だった。
「大学を出てサラリーマンをしていた頃、自分の制作物や会社内での人との直接触れ合うことのできない遠い距離に、悶々とした気持ちが溜まっていった」
そうして仕事を離れワーキングホリデーに行った先のオーストラリア。そこには、日常のご飯としてのパンがあった。
「こんな旨いものが作れる」
パンは買うものと思っていた清原さんの考えが、「つくる」という方向に転換した瞬間だという。
自分の手で何かを作りたい。対面にいる人との距離を近めたい。そんな時出会ったルヴァンのパンが旨かった。すべてが繋がり、清原さんはパン職人の道へ進んだ。
そして今、人とパンと、とても近いところで毎日パンを捏ねあげ、焼き上げている。
パン作りの難しさは?と訊くと「パンは人の気持ちが表れやすいものだから、日々の心の安定を保つことが大切であり難しいこと。まだまだ修行中です」と清原さん。自分と向き合う時間がとても大事なことなのだそうだ。
お二人に、これから自分の道を決めようとしている後輩へのメッセージをもらった。
清原さん
「やりたいことはなに?と常に自分に訊いて違ったらまたやりたいことを探せばいい。そうできないと迷いを持っているときは思い切って進むしかないと思う」
小原さん
「自分がええと思うたら、やったらええねん」
心に正直に即行動するのみ。人生に失敗や無駄なことなんてない。
行けばそこが道になる。そして、道はつながる。人生は素晴らしい。
「なんくるないさ~」(=なんとかなるよ)
自分そのまま、想いのままに進むことで出会えるものがあるのだ。二人のこれまでとこれからがそういっているように思えた。
溶岩窯は火の当たりがやわらかく、パリッと焼きあがる
カンパーニュ焼き立てです
カンパーニュ317は、自然発酵種がもっとも使われたルヴァンを代表するパンであり、スタッフにとっては、いつかは自分で仕込んで焼いてみたい「憧れのパン」でもある。
両手に抱える程の大きなパンは、スライスしてサンドイッチにしたり、はちみつをとろりと垂らして頂いたりと、シンプルで飽きのこない味わいだ。
そのカンパーニュ317の窯出しに立ち会った。
焼きたてのパンの底をポンポンと叩くと空気の抜けるいい音がする。
「いい色になった」と満足そうに微笑む清原さんに、
「焼き立ての時にだけ聞こえる音。これが嬉しい瞬間です」
「パンに耳を近寄せてみて」といわれた。
プチッパチッと皮がはじける音。
幸せな、おいしいさを報せる音。
食べ物をつくる仕事は、なんとも人を幸せにしてくれる力がある。
自然の気をこめて生を育み、食とする。ルヴァンのパンは幸せの形そのものなのだ。
| 社名 | ルヴァン株式会社(ルヴァン信州上田店) |
|---|---|
| 代表 | 代表取締役 甲田幹夫 |
| 設立 | 2004年6月(ルヴァン信州上田店) |
| 事業内容 | 国産小麦自然発酵種パン製造&販売、カフェ、レストラン |
| 従業員 | 7名(平成22年現在) |
| 資本金 | 1000万円(ルヴァン株式会社) |
| 住所 | 〒386-0012 長野県上田市中央4-7-31(北国街道柳町) |
| TEL | パン 0268-26-3866/レストラン ルヴァンターヴル 0268-25-7425 |
| FAX | 0268-26-3866 |
| 営業時間 | パン 9:00~18:00/茶房烏帽子 10:00~17:00 レストラン ルヴァンターヴル 11:30~17:00(LO 16:30) ※金・土曜日のみ 11:30~20:00(LO 19:00) ※ディナーは要問合せ |
| 定休日 | 水曜定休日、第3木曜日(祭日振替休日あり) |
| URL | http://www.hi-yorokonde.com/detail/index_232.html |
| その他 | ルヴァン富ヶ谷店 〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷2-43-13 TEL/FAX 03-3468-9669 ルヴァンの800日 パン屋ルヴァンの言の葉 |