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近年ますます複雑化し、小型化が進む電気製品。
当然それを構成する部品も高精度で複雑な加工を必要とされ、一つの部品がいくつもの機能を持つことを要求される最も厳しい製品分野だ。
さらに、世界で戦うためにはコストパフォーマンスをも高めなければならない。
いくら複雑な部品でも高価なら作るのは難しくない時代だが、世界が欲しているのは、高度な部品を安価につくること。この相反する要求に応えることができるのが高度なプレス加工技術なのである。
精密プレス加工分野におけるリーディングカンパニーであるサンコー。日本の誇る薄型テレビやデジタルカメラ、携帯電話、DVDプレーヤー、ゲーム機などの電気製品向けのプレス加工部品を中心に、自動車の内装やカーナビ、ETC等のエレクトロニクス分野でも幅広い実績を持つ。
インタビューに先立ち立ち寄った量産工場で我々は目を見張った。綿密に設計され、高精度につくられた10数種類の金型が、連続して動き、次々に別の加工をすることで鉄の板が複雑な部品になっていく。その様は、まるでマジックのよう。「『Made in Japan』を支える日本のモノづくりの中心に触れた」そんな瞬間だった。
今回はこうしたプレス加工用の金型技能者であるサンコーのプレス事業部製造課所属の奥原崇史さんにお話を伺った。
量産プレスラインの光景。鉄の板が部品へと変化していく。
入社してから5年、プレス用金型加工・調整一筋できた奥原さん。
この仕事で一番大変なことは何ですか?と聞くと、「今までは一つとして同じものを作るということがありませんでした。毎回毎回ゼロからスタートで新しい金型を試作をしなければならないのでとても大変です」
「一度組み上げた金型は量産のプレス機に組み込まれて何万個、何十万個もの製品を生み出すことになりますが、その元となる金型は人の手がひとつひとつ調整しながら組み上げていくもの。金型は組む時間より調整する時間が圧倒的に多いし、時間もかけなければならないんです」
10以上のプレス工程を組み合わせ、一つの製品を作りだすための調整能力がこの技能における最も重要な点なのだそうだ。何度も試作を繰り返し、不具合を見つけては調整していく。
「ようやくスピードが多少上がったかなと自分では思っています」そう語る奥原さんの顔つきは5年間積み重ねた「自信」に溢れていた。
その手でつくられた金型が基になり、様々な製品が作られていく。
「今は、次から次へと新しい『お題』が渡される感じです。一つとして同じ金型はありませんから、難しいものをやっている時は悩むし、つらい時もありますが職場が明るく、指導もしっかりもらえるので楽しく仕事ができています」
「大先輩のようにどんどん技術を身につけて、どんな仕事が来ても対応できる人になりたい。先輩はもっと複雑でもっと大きいものを作っていてまだまだかなわないなと思います」
技能向上にとことん真剣な奥原さんの五年後が楽しみだ。
自らの手で世界的な製品がつくられていくことについてはどう思いますか?と聞くと、「自分はまだ見たことが無いんですが、先輩がある製品の裏側を見たことがあって、そこに見覚えがある自分が作った部品を発見して感動した話を聞いています。デジタルカメラのボディや携帯音楽プレーヤーの蓋を開けた中とかにも見ることができるみたいなので、自分も見てみたいなあと思っています」
年間に100以上の金型を作っている奥原さん。そのうちに自分の身の回りが自分が造り出した製品で囲まれる日も近いだろう。
プレスのプロフェッショナル
子供の頃はミニ四駆やプラモデルを組み立てるのが好きだった奥原さん。小さいころからものづくりは大好きだったそう。もちろん大学も工学部出身だ。
高校生の時は将来のことまで考えられなかったけれど、工学系の大学へ行ってものづくりを意識し始め、地元のものづくり企業への就職を考えた時に、サンコーに入社を決めたそう。
入社して思ったのはやはり自分はものづくりが好きで自分に向いていたということ。
奥原さんに、これからのものづくりを担う後輩に向けてのメッセージをいただいた。
「後悔しないためにも、やってみたい職をやっている人に、『どんなことにやりがいを感じるのか』『どんなことがつらいのか』」を聞いてから決めたほうがいい」とのこと。そして、「プレスに興味ある人はぜひ私に聞きにきてください」と熱く語ってくれた。
金型プレス技術者はプレス機械に用いる金型(同一部品を作り出すための型)の加工、メンテナンスおよび調整とプレス機械を操作し製品製造を行う。
プレス用の金型加工とは、何枚ものプレートを重ねた「入れ子」というパーツを組み合わせ、プレス生産を行えるように金型を組立てること。
金型は手でひとつひとつ調整しながら組み上げていくため、組む時間より調整する時間が圧倒的に多く、数多くのプレス工程を組み合わせ、一つの製品を作りだすまでの調整能力が最も重要になる。
| 社名 | 株式会社サンコー |
|---|---|
| 代表取締役 | 竹村 潔 |
| 設立 | 1963年(昭和38年)9月2日 |
| 事業内容 | 電子・音響・VTR・OA機器等の機構部品の製造及びメカユニットの組立 省力化機器設計・製作 |
| 従業員 | 495名 |
| 資本金 | 37億7911万円 |
| 住所 | 〒399-0782 長野県塩尻市広丘野村959 |
| TEL | 0263-52-2918 |
| URL | http://www.sko.co.jp/ |