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スペシャル


第48回技能五輪全国大会レポート

10月22日~10月25日、神奈川県にて第48回技能五輪全国大会がパシフィコ横浜他全9会場で開催されました。「神奈川で競えこの技この技術」をスローガンに、23歳以下の若年技能者が技術レベル全国一を競うこの大会。今回は、全39職種の競技で競われました。長野県からは、全18職種に総勢51名の選手が参加。愛知、神奈川、茨城、東京県勢につぐ大規模な選手団での挑戦でした。
そして神奈川大会は、2011年にイギリス・ロンドンで行われる第41回技能五輪国際大会の日本代表選手の選考予選会を兼ねた「国際大会を目指す年」。それだけに、選手の闘志、緊迫感も並々ならぬものを感じました。

技能ルネッサンス!かながわ 第48回技能五輪全国大会に出場の長野県選手一覧はこちら→長野県選手参加状況(2010年神奈川大会)


電子技術系

電子技術系職種には、「メカトロニクス」、「電工」、「工場電気設備」で長野県選手が出場しました。
「メカトロニクス」職種、根橋俊和さん、篠原直也さん、栗生達矢さん、佐藤翔太さん(以上4名、セイコーエプソン㈱)。
昨年の初挑戦から1年。動きを出すことができ、闘えるようになってきたと今年は笑顔もみられました。5時間の競技時間中にクリアできた組はわずかの1組という難課題に立ち向かい、世界へつなぐ大会のレベルを知り、自分を知れた大会であったと競技直後に選手のみなさんは語っていました。

「電工」職種、竹内翔さん(㈱トーエネック長野支店)。
競技前日からすでに緊張と気合いの入り混じった表情だった竹内さん。大会一か月前からミスが増えてきて身体が辛かったそうですが、競技終了直後には、「やりきった―もう満足です」と満足気に語っていました。竹内さんは敢闘賞を受賞しました。

「工場電気設備」職種、永野雄也さん、島田利男さん(以上2名、オリオン機械㈱)。
3つのパートに分かれた課題を約14時間ほぼ休みなく続けるハードな競技を終えて、島田さんは初めての挑戦で全国の厳しさを感じた、永野さんは終わってほっとしていると笑顔で語ってくれました。


機械系、金属系

機械系職種には、「機械組立て」、「抜き型」、「精密機器組立て」、「旋盤」で長野県選手が出場しました。
「機械組立て」職種、小口勝也さん(野村ユニソン㈱)。
動きが微妙ではあったけどなんとか動くといいけれど、、とにかく挑戦です。7時間弱ひたすら削り続けたやすりがけにひとこと「疲れました!」と笑顔で語る小口さんはすでに次の大会を見据えているようでした。

「抜き型」職種、牛山大さん、兼子拓矢さん、務台健祐さん(以上3名、セイコーエプソン㈱)。
二年目選手の二人と、一年目選手の務台さん。ミクロン単位の精度を人の手で追求し、時間内に仕上げるために何種類ものやすりを使い分け、一瞬一瞬の判断が必要になる。何度となく組み合わせを確かめ、やすりをかけては調節する選手の姿に、感覚を競う競技の難しさを感じました。この競技では、牛山さん、兼子さんが敢闘賞を受賞しました。

「精密機器組立て」職種、丸山ゆいさん、小澤健太さん、矢島剣汰さん(以上3名、セイコーエプソン㈱)。
全身を使ってものすごい勢いでハンドルを回す姿、選手の直線的な動きが印象的で、作業時間のロスをいかに減らせるかが明暗を分ける競技であることを感じました。この競技では、小澤さんが銀賞を受賞、矢島さんが敢闘賞を受賞しました。

「旋盤」職種、丸山尚史さん(㈱エヌ・イー)、池田貴弘さん(㈱ヨシカズ)。
まさに自分との闘い。黙々と競技に臨む選手の姿が印象的でした。旋盤というマシンを操る時、上手く削れているかどうか音で判断するため、選手たちはみな音に神経を尖らせ緊張感のある空気の中で競技が行われていました。

金属系職種には、「構造物鉄工」、「電気溶接」で長野県選手が出場しました。
「構造物鉄工」職種、神侑樹さん(綿半テクノス㈱松本工場)。
切断加工にはじまり、孔加工、曲げ加工、溶接、組立てと鋼を自由に操り構造物を作りだす総合的な力が必要になるこの競技。神さんは、普段の業務とは異なる薄い板が課題であったこともあり、短い練習期間では厳しかったと語っていました。

「電気溶接」職種、坂田亨さん(㈱羽生田鉄工所)、西山勝巳さん(㈱前田鉄工所)。
ガスバーナーの青い光とバチバチ音が響く会場。溶接部分の煤を削り取り、現れた輝く溶接面の美しさが印象的でした。人の手で技術で金属同士を溶接し、形作っていく姿に、ものづくりの原点を感じた競技でした。


建設・建築系

建設・建築系職種には、「タイル張り」、「建築大工」、「造園」、「冷凍技術」、「とび」で長野県選手が出場しました。
「タイル張り」職種、柏原貴徳さん(炭平コーポレーション㈱)。
素人目にも見た目は完璧!競技直後にそのことを伝えると、それでも練習よりは上手くいかなかったと柏原さん。あくまで謙虚にもっと上手い人がいる―。と語っていました。段取りと時間配分が抜群で時間ぴったりで競技を終えた柏原さんは初出場で銀賞の快挙です。

「建築大工」職種、吉成幸雄さん、古田涼真さん、小林崇人さん(以上3名、松本技術専門校)、三島大和さん(三島建築所)、増田琢人さん(㈱ツチクラ住建)、高橋利之さん(㈱ノムラウッドテック)、内堀拓也さん、増澤紘太郎さん(以上2名、㈲井坪工務店)、駒澤和幸さん(㈲駒澤工務店)、町田知久さん(㈲湯本三工務店)。
長野県勢ではもっとも多い10名の選手が出場した建築大工職種では、レベルの高い課題にも関わらず続々と課題を提出していました。つくりもとても美しかった。響くのみやノコギリの音、木の香りに包まれた会場で、黙々と課題を作り上げていく選手たちの姿が印象的でした。敢闘賞を受賞の小林さんは、競技終了直後に「協力してくれた人に感謝したいです」と語っていました。

「造園」職種、池田典史さん、伊藤秀幸さん(以上2名、文吾林造園㈱)、箕輪孝祐さん(みのわ造園)、井出泰成さん(㈱神津造園建設)、赤尾英亮さん(㈲アートランド)、加藤貴裕さん(㈲藤本エクステリア)。
世界大会に照準を合わせて、二人一組で臨む今回の競技は、相方との連携がポイントなだけにとても仲の良かった造園チーム。「新課題のアルコーブ(祭壇のような部分)に手こずる人が多くみられた」とは、以前匠で取材させていただいた荻原さん(㈱楽月園)談。それぞれの庭を眺めていると、人により庭の表現は異なっており、作り手の表現にも様々な形があることを感じさせられました。池田さん・伊藤さんチーム、赤尾さん・加藤さんチームがそれぞれ敢闘賞を受賞しました。

「冷凍技術」職種、齊川淳さん(㈱マツハシ冷熱伊那支店)、小松葉純さん、村澤健介さん、馬場哲志さん、近藤謙太さん、樋口瞳さん(以上5名、オリオン機械㈱)。
競技終了後にインタビューすると、「まだ漏れ検(課題を水に沈めて、ガスを流し漏れがないかをチェックする最後の検査)が終わってないのでまだ喋れません!」と選手のひとこと。漏れ検では、全選手合格!検査を通った瞬間にこぼれおちる抜群の笑顔が印象的でした。この競技では、馬場さん、近藤さんが銅賞を受賞。小松さん、村澤さんが敢闘賞を受賞しました。


サービス・ファッション系

サービス・ファッション系職種には、「フラワー装飾」、「美容」、「西洋料理」、「レストランサービス」で長野県選手が出場しました。
「フラワー装飾」職種、北澤仁美さん(㈱ヌボー生花店)、吉原菜々未さん(岐阜県立国際園芸アカデミー)。
北澤さんはススキを用いた秋らしい和風のテーブルデコレーションを、吉原さんは白いお花のみでつくった新しい形のブライダルブーケを。それぞれのアイデアを書き起こしたスケッチをもとに作り上げていました。花を扱う手さばきの美しさが印象的な競技でした。この競技では、北澤さんが銅賞を受賞、吉原さんが敢闘賞を受賞しました。

「美容」職種、杉本愛さん、有坂美佳さん、横尾奈々恵さん(以上3名、㈲シガ美容室)。
毎日深夜まで練習を積み、臨んだはじめての技能五輪。普段の業務ではまだすることのないカットやパーマネント、カラーといったハイレベルな課題に臆することなく立ち向かっていました。長野大会では金を目指す!と頼もしい言葉を語ってくれました。

「西洋料理」職種、平田麻里子さん(㈱ホテルメトロポリタン長野)。
自身で考案したメニューを、オードブルからメイン、デザートまで短い時間内に仕上げるこの競技。平田さんのメニューは、「豆腐とガルバンゾ―のキッシュ・彩り温野菜とともに」、「牛バラ肉のディアブル風・赤ワインソースで」、「りんごのプラリネパウンドとクレープロール・チェリートマトのコンポート添え」。時間ぎりぎりになってしまい悔しい!と語っていましたが、競技後にいただいた彼女の料理(真っ先にいただきました)が一番美味しかった!

「レストランサービス」職種、阿部由美子さん(東洋観光事業㈱ホテルブエナビスタ)、小林裕香さん(軽井沢プリンスホテル)。
阿部さんはお客様の笑顔を自然と引き出す会話と柔らかな笑顔の接客、小林さんはあたかも会場が高級レストランになったかのような凛とした接客サービスがとても美しかったです。主査であり料理評論家の服部幸應さんの講評では、共に闘った仲間との縁を大事にして、更にサービスに磨きをかけてほしいとのお話でした。競技の結果、小林さんが銅賞を受賞、阿部さんが敢闘賞を受賞しました。


まとめ

ワザキャン編集部は、大会開催期間中の5日間、全選手を取材しお話を伺ってきました。
大会前の8月から2ヶ月ぶりに会う選手たち。追い込みの厳しい練習を続けてきたのでしょう、選手たちは一層精悍な顔つきになっていました。まっすぐな眼差しで競技に臨む姿は、「これに懸けてきた」真剣な想いがあればこその姿なのだと、こちらまで胸が熱くなる思いでした。
競技終了直後のインタビューでは、はち切れんばかりの笑顔で話す姿、緊張の糸が切れ思わず涙をこぼす姿、満足いく結果が出せなかったのか悔しそうに会場を後にする姿。自分と競技とに真摯に向き合うその姿勢こそが彼らがほんとうに得たものなのではないかと思わされました。技能五輪とは、技能を高めるための大会ではありますが、その厳しい練習の中で、自分を知り、時には自分の弱さと向き合い、精神を磨く大会でもあるのでしょう。
緊張や疲れを抱えた選手のみなさんに声をかけるのは時にためらうこともありましたが、すこしでもそのかっこよさを伝えるのが編集部の仕事であると、迷惑を顧みずに取材させていただきました。取材にご協力いただいた選手のみなさんほんとうにありがとうございました。これからもワザキャン編集部は選手たちとものづくりの今を追い続けます。
動画で今大会のダイジェストをご覧いただけます。是非ご覧ください。