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10月4日 イギリス・ロンドンで開幕した第41回技能五輪国際大会。The ExCeL Londonをメイン会場に48の国と地域から900名超の選手が参加し、全46職種の競技が行われました。
長野県からは印刷職種(Printing)に伊東真規子さん(亜細亜印刷(株))、レストランサービス職種(Restaurant Service)に小林裕香さん(株式会社プリンスホテル 軽井沢プリンスホテル)の2名の選手が出場。また長野県上田市出身(新潟県代表)の洋菓子製造職種(Confectioner Pastry Cook)から上野実里菜さん(にいがた製菓・調理師専門学校えぷろん)が出場しました。
今回のワザキャンスペシャルは、世界大会レポート:技能五輪国際大会2011ロンドン(2)では、長野県代表選手たちの活躍の模様をレポートします。
日本、フィンランド、ベルギー、ドイツ、フランス、デンマーク、スイス、カナダ、香港、アメリカ、スウェーデンの総勢11名の選手が参加した印刷職種。
競技内容は、オンデマンド印刷機の操作(※1)、印刷紙の断裁、マシンのメンテナンス、4色ポスターの印刷、5色印刷、調色、ローラーセッティング、濃度測定、そして印刷シミュレーター「SHOTS」(※2)。印刷作業のすべてを取り扱う競技内容は、実際にマシンを扱っての印刷作業へと続き、徐々に緊張感が高まっていくものでした。
※1 オンデマンド印刷機の操作・・・プリンタでパソコン内のデータをきちんと出力できるかどうかを競う。
※2 印刷シュミレーションシステム・プログラム「SHOTS」・・・カルガリー大会から採用。画面上に印刷室・制御室などを再現し、実機と同様の操作をシミュレートすることができる。様々なジョブやトラブルを設定し、繰り返し訓練することで、印刷機操作の基本、トラブル解決策が短期に習得できる。
競技に使用されたマシンはハイデルベルグ社製の5色機。出場選手のほとんどが使用したことのないマシンで、手動での制御を求められるものでした。「マシンの自動化された機能を使えないという意味では戸惑う部分もあるかもしれない」とは、(社)日本印刷産業連合会の牧野さん。というのも、機械としては使用可能な機能も、選手の腕を試すことができなくなるので競技としては使わないように手動化されているのだそうです。
初日の競技を終えてすぐの伊東さんにお話を訊くと、「思った通りにできたところ、できなかったところがありましたが、明日からメインとなる印刷作業。がんばります!」その言葉から力強さと、今の自分自身の状態を冷静に見つめて競技に臨んでいることを感じました。
競技二日目からは、本人も印刷職種の中で一番の見どころで最も緊張する場面と語っていた印刷作業に入ります。朝9時から一番手での印刷作業に臨んだ伊東さん。会場内の気温やマシンの状態など(朝早い時間のため会場やマシンが冷えていた)を感じ取って作業を進める経験値も求められました。
4日間の競技を終えて、「訓練してきた分、楽しんで4日間を過ごすことができました。早く結果を訊いて日本に帰りたいです!」と達成感を感じる満面の笑みをみせてくれました。「どんなことにも完璧に対応できるようにやってきた」という指導員大塚さんの言葉通り、持てる技能のすべてを発揮した伊東さんは、600点満点中542点の成績で見事金メダルを受賞。印刷職種としては、カルガリー大会に続く二連覇を達成しました。
日本、スイス、オーストラリア、フィンランド、ノルウェイ、フランス、アイルランド、ドイツ、オーストリア、シンガポール、カナダ、スウェーデン、イギリス、ブラジル、デンマーク、台湾、タイ、スペイン、ニュージーランド、インドネシア、オランダ、ポルトガル、アメリカの総勢23名の選手が参加したレストランサービス職種。
競技内容は、ファインダイニング(高級レストラン)、カジュアルダイニング、バンケット(宴会)、バーでのカクテルサービスに加えて、デクパージュ(※1)、チェリージュビレ(※2)、フルーツのカッティングと盛り付けといった簡単な調理から、ワイン利きなど多岐に渡るものでした。
世界各国の料理や飲み物への幅広い知識はもちろんのこと、ファインダイニング(高級レストラン)、カジュアルダイニング、バンケット(宴会)と異なるシーンでのテーブルセッティングとマナーへの知識。そしてサービスマンにとって何より大切なのは、その知識を礎に、来店したゲストをいかに楽しませるサービスを行うかということです。競技期間中は通訳を用いずに、全てのサービスを英語で行うというハイレベルなものでした。
※1 デクパージュ・・・肉をさばく技術を競う。チキンの場合は、鶏の種類によって関節の位置が違うなど知識と経験が必要。
※2 チェリージュビレ・・・焦がした砂糖とバター、洋酒で風味付けしたチェリーに、冷たいアイスクリームを盛り付けたデザートをゲストの前で調理する。ショーフロアと呼ばれる温と冷が一皿に盛り付けられたデザートは、調理のタイミングを変えることでフランス風のデザートになったりするというから面白い。
初日の競技である、フレッシュフルーツ(パイナップル)のカッティングと盛り付けをしている様子は、落ち着いて競技に臨んでいるように思えましたが、「競技初日を終えてかなり落ち込みました。これから4日間どうなってしまうんだろうと不安でいっぱいだった。」と小林さん。しかし、二日目からは、直接ゲストとふれあうサービスがメインの競技内容になり、楽しみながら競技に臨むことができたそうです。
ゲストと相対して、慣れない英語でサービスを行うというのは相当緊張するのではないか?と訊くと、「実際に競技が始まってしまえば緊張している時間もないし、自分自身の力を出すだけです。」何よりサービスの仕事が好きだと語る彼女が自分自身のサービスを国際大会の場で発揮し、笑顔でゲストとふれあっている姿が印象的でした。
日本、フランス、オーストリア、スイス、韓国、ブラジル、台湾、イギリス、フィンランド、デンマーク、カナダ、南チロル(イタリア)、ノルウェイ、ハンガリー、スペイン、インド、メキシコ、インドネシアの総勢18名の選手が参加した洋菓子製造職種。
今大会のテーマは「ワイルドライフ&フラワー」で、キリンやトカゲをモチーフにしたユニークで色鮮やかな飴細工やマジパンの表情が楽しく、競技エリア周辺は甘い香りと華やかな技術で多くの観客を集めていました。
マジパン細工、チョコレート細工、飴細工に、ミステリーバスケットから材料を選びとってのアントルメ(ホールケーキ)と皿盛りデザートの作成。技術を発揮するだけでなく作業性、時間、味、質感、想像力も重要で、もちろんレシピからデザインまで自身で考えて競技に臨みます。
上野さんの作品、カンガルー、ワニ、トラ、ハリネズミのマジパンは動物たちのやわらかな表情が印象的。アントルメは、アフリカの砂漠をイメージし、砂漠の中のサボテンの花とオアシスを配して、白とグリーンのコントラストが美しい作品でした。また、燃えるような花とリボンのモチーフをメインに、少女の顔をスプレーで描いた飴細工は、その最上部にきらめく不死鳥から力強さを感じさせられるもの。実際の作品を間近でお見せすることができないのが残念な程です。
すべての作品において共通するのは、湧き立つような生命力を感じる色使いと繊細なフォルム。洋菓子ではありながら、和の美しさをも感じさせるものでした。
競技を終えた直後に4日間の感想を訊くと、「練習通りの力を出すことができました。」と笑顔。結果、フランス、オーストリアの選手と並び金メダルを獲得しました。得点は、フランス選手と1点差の527点。洋菓子製造職種としては、4年ぶりの快挙です。
次回 世界大会レポート:技能五輪国際大会2011ロンドン(3)は、ワールドスキルズロンドンを支える人たちからのメッセージをお届けします。