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竹内製作所
大澤岳彦(長野県坂城町)
ヨーロッパ、北米を中心とした海外のミニショベル市場で高いシェアを誇る竹内製作所。
世界で初めて、ミニショベルとクローラーローダーを開発した同社は、それまでの建設機械の常識を覆し、圧倒的な小型化を実現した開発型メーカーである。人の力で作業するしかなかった狭い場所にも入ることができる小型ショベルは混雑した都市部における建設現場に革命を起こした発明だった。以来、他社に先駆けてグローバルな展開を行い、世界のミニショベル市場を作り上げてきたリーディングカンパニーである。
徹底してユーザーの声を聞き、即製品に反映させる独自の開発思想により、高い顧客満足度を誇る竹内製作所のミニショベル。今回はそのミニショベルの下部体(足回り)部分の開発設計部門のリーダーとして活躍されている、開発部開発設計課の大澤さんに世界を見据えた製品設計の難しさ、醍醐味を伺った。
「私の担当している部分は地味なんですけど…」と控えめに語る口調は穏やかだが、言葉の一つひとつは自信にあふれている。大澤さんの開発担当はミニショベルを構成するいくつかのパートの中の下部体と呼ばれるクローラやタイヤ等の走行部を含めた土台部分である。決して地味なんかではない、肝心要の部分である。人間に例えるなら腰から下の部分といえるだろう。足腰がしっかりしていないと何もできない。野球やゴルフでも腰下がしっかりしていないとちゃんと打つことさえできないのだから。
大澤さんの言葉からはその「全てを支えている」パートを任されている自信と責任を感じることができる。
「下部体がしっかりしていないと操作性が非常に悪くなってしまうんですよ」「毎日毎日建設機械に乗り、操作するオペレータにとって思い通りの位置に止めたり出来ないことは大変なストレスになるのです」。下部体がグラグラしていると上部で旋回する部分も思ったとおりの位置に動かしたり止めたりすることができない。作業性も悪くなり仕事の効率も下がってしまう。激しい動作でもびくともしない下部体の開発が重要なのだという。
ただ単にしっかり頑丈につくることは難しくないかもしれない。しかしミニショベルの開発は重量や大きさの制約を受ける。輸出時の制約もあるが、一番はユーザーがミニショベルを運搬し、現場まで運ぶことも考慮しなければならないということだ。いくら頑丈でも、大きく重くなってしまえばそれだけ運搬が困難になる。求められる性能は頑丈であり、なおかつ小さく軽量であることなのだ。「実は以前失敗したこともありまして・・・」一度足回り部品の板厚(鉄板の厚さ)を落とすことで、大幅な軽量化を試みたそう。数値に表れる強度は問題無かったが、実際に動かしてみると強度が不足し、操作感が非常に悪くなってしまったとのこと。製品化に至らずやり直しとなった苦い経験を語ってくれたその口調は悔しさがにじみ出ている。下部体の開発部門を担う大澤さんの熱い想いを感じた瞬間だった。
竹内製作所の作りだす建設機械は世界の様々な使用環境で活躍している。舗装された道路を走る自動車とは違い、建設機械の活躍の場は斜面や荒れ地、川の中など過酷な条件である。時には、メーカーの想定を超える使われ方をされることもある。特にヨーロッパでは日本には無い、様々なアタッチメント(アーム先端に付ける器具)が使われるため想像もできないトラブルもあるとのこと。不具合や問題が出た場合の問題特定は難しい部分も多く、いろいろと紆余曲折をする場合もある。現地のスタッフや、品質のスタッフと協力して、なぜ問題が起こったかということを特定することも重要な業務であるのだ。
想定外の使用で発生した事象には全力で対応し、ユーザーの要望に真剣にこたえる姿勢は、同社の特徴でもあり強みでもある。他のメーカーであればモデルチェンジが行われるまで、大幅な改良は行われないが、竹内製作所は同一のモデルでもリアルタイムで改良し続ける。「最新のマシンは最良のマシンである」ために。大澤さんの戦いの日々は続く。
エッフェル塔とミニショベル
通常は、日本で設計業務を行う大澤さんだが、数年前ヨーロッパに出張することがあった。開発部門として新製品開発の市場調査と現行製品の改良のための出張である。その移動中、いたる所で目に入ってくる自社製品。自分が携わっているミニショベルが日本から遠く離れたこのヨーロッパでこれだけ活躍していることに今までに無い感動を覚えたという。ヨーロッパでの高いシェアが実感できた瞬間でもあった。
そしてもうひとつ、現地のユーザーと直接話をして実感したことがある。それはユーザーが竹内製作所のミニショベルをとても愛してくれていること、大事に使ってくれていることだ。国によっても異なるがヨーロッパではレンタルではなく所有が主流だとのこと。だからとても大切に使ってもらっている。これだけ多くの人に使われている製品の開発部門を担っていることに誇りと責任を実感し、それまでの自分自身の仕事に対する意識を大いに高めてくれた貴重な経験であった。
子供のころはラジコンの組み立てが大好きだった大澤さん。大学も機械工学科に進み、なんとそこでは自動車部に所属。自動車を思う存分いじりましたと楽しそうに語ってくれた。そんな大澤さんだから就職活動の際の選択基準は完成品メーカーであること。部品メーカーでなく実際に動く完成品まで関れることが目標でした。想いがかなった現在、ユーザーと直接向かい合う完成品メーカーとしての難しさと責任を日々痛感しているそう。
ひとつの仕事が終わっても、次の仕事が待っているために、なかなかほっとする暇もないというのが現状のようだが「もっともっと経験を積み、知識を広げ、自分の設計に自信が持てるようになりたい」と子供のころから積み上げた技術者魂を語っていただいた。
| 社名 | 株式会社竹内製作所 |
|---|---|
| 代表 | 竹内 明雄 |
| 設立 | 1963(昭和38)年8月21日 |
| 事業内容 | 各種建設機械 [標準型ミニショベル(クローラー式、ホイール式、電気式)、超小旋回型ミニショベル、クローラーローダー、クローラーキャリア] 及び工業用撹拌機の設計開発から販売までの完成品メーカー |
| 従業員 | 514名 |
| 資本金 | 36億3,294万円(平成21年4月30日現在) |
| 住所 | 〒389-0605 長野県埴科郡坂城町上平205 |
| TEL | (0268)81-1100(代) | URL | http://www.takeuchi-mfg.co.jp/ |