ホーム > WAZACANインタビュー > 自分×世界 > 手塚智之
ひときわ大きな看板に「エグロの旋盤」と書かれている。田園地帯ののどかな風景の中に、世界に名を馳せる小型工作機械メーカー「エグロ」があった。
「エグロ」は、汎用旋盤、NC旋盤、5軸マシニングセンタ、微細精密複合加工機を製造する小型工作機械メーカーであり、その販路は、アジアを中心に、欧州、アメリカなどに及び、特定のOA機器部品の加工機においては、世界シェア80%を占める。JUST FIT JUST YOUR'S (お客様にあったちょうどいい機械)というコンセプトのままに、顧客それぞれにカスタマイズした工作機械を製造し続ける世界的小型工作機械メーカーだ。
その工作機械の中枢である部品加工の、大部分を担う箕輪工場では、金属の塊から1000分の1ミリまで要求される部品を削り・磨き出す工程が行われている。土台はもちろん細かな部品に至るまで温度から何から状態を管理され、はじめて正確な精度の出せる製品に仕上げることができる。その箕輪工場で、フライス盤技能士として働く弱冠22歳・機械加工部の手塚智之さんにお話を伺った。
寸法通りに仕上がっているか。見た目は美しく仕上がっているか。
小型工作機械の製造というと、細かな部品は外注しているのではないか?そう考えてしまったが大間違い。部品を一から設計して作っていると訊き、驚きを隠せなかった。エグロでは、ほぼすべての部品を顧客の要望に沿ってカスタマイズ製造する。一点ものの2個か3個の部品を一つひとつ製造するというから、その数は膨大だ。手塚さんは、3台の機械で精度・研磨の前の一番目の工程・フライスを担当する。
「自分は一番最初の工程。悪く言うとそこまでうるさくないけど、しっかり図面上に寸法通りにぴったり合わせたい」
ライン作業でなく担当の機械があり、製品を作るのは自分だけじゃないからと先の工程にも思いを巡らして作業を進めているのだと手塚さんは言う。
「6F(6面フライスのこと)が狂うとすべてが狂う。直角が出ていないと次の工程でずれてしまう」
だからこそ、図面上のものは図面のままに仕上げたいのだという。そうして自分の手で削り出した製品がぴたりと寸法を出せた時が最高に気持ちいい。なにより、みんなで仕上げた部品がひとつの製品として完成した姿を見た時が嬉しいんだそうだ。
(上)技能検定の指導員でもある上司の宮坂課長と。仕事以外でもとても仲が良いのだそうだ。
(下)工場には、国家技能検定合格者の写真が掲載されていた。
エグロは、国家検定技能士が多数。しかも、資格保有者は、何も製造現場を目指した人に限ったことではない。というのも、「自社の製品がどのような技術を持って作られているのか、それくらいは知っておけ!」と、本社の社員においても受験を推奨しているからだ。全く機械に触れたことのない、ずぶの素人が受験をするのだからそれは大変なのだろう。だが、ベテラン技能士の指導をみっちりと受け、加えて努力することでクリアできるのだとか。指導力に裏付けられた技術力。だてに旋盤のエグロを語っている訳ではないのだ。
手塚さんは入社から3年目に、フライス盤2級を受験した。毎日仕事後に残って何時間も練習すること3カ月。見事一発合格したが、その練習の日々は、思わず同僚に当たりたくなるくらい大変な日々だったそうだ。それでも、「やってみてよかった」と思えるのは、その日々が仕事に生きてきているのを感じるから。入社5年目。今は後輩の指導者となった。教えられる立場から、人に教える立場になり分かることがあった。ひとつステップを上がって、これから。より高い質の追求へーと新しい領域に踏み出した。
真剣な眼差しでフライスをみつめる手塚さん。
「高校を卒業したら就職したかったから」と工業高校に進学。当初は製造職に就こうとは思っていなかったが、実際に働いてみたら楽しいことが多かった。とはいえ、もちろん楽しいことだけではない。やっていることのレベルが違ったのだそうだ。教えてもらうことは、積み重ねられた技術であり、コツであり、その現場でしか知り得ないことばかり。だからこそ、自分のような製造職を目指す人にはこう言いたいのだそうだ。
「製造やるなら高校を出てすぐ働いたらいい。現場で体感したほうがいい」
常に結果を求められる厳しさ・技術の難しさはあるが、それは経験することで必ずできるようになること。プレッシャーの中で働くことは楽しいことばかりではないけれど、乗り越えた時の嬉しさは、学生の時とは比べものにならないもの。
「将来は、後輩に聞かれたことは大体なんでも答えられるようになりたい。そして、もっとたくさんの機械に触ってみたい!」と、新しいおもちゃに目を輝かせる子供のような笑顔で答えてくれた。製品の原点・部品を削り出すことが好き。ものづくりがとても大好きなのだ。
フライス盤は、主に金属などの機械加工のための工作機械。
加工する材料を前後・左右・上下に動かしながら、定位置で回転しているフライス(回転切削工具)で、加工する技術。主に、金属の平面加工、溝加工、すり割り入れ(切れ目)、穴加工を行う。
立体形状の部品を製作する時に重要な役割を果たしており、溝やすり割り(切れ目)を入れることで、より締めやすい部品を作ることができる。
仕上がりの精度はもちろんのこと、製品そのものの見た目の美しさも重要。
図面上に描かれた「もの」を自分で読み取って「形」にする。平面をどうやって立体にするのか考えて削る難しさ、そしてそれらを自分の手で削る気持ちよさがある。
| 社名 | 株式会社エグロ |
|---|---|
| 代表取締役 | 江黒 照男 |
| 設立 | 1937年10月 |
| 事業内容 | 汎用旋盤、NC旋盤、5軸マシニングセンタ、微細精密複合加工機の開発・製造・販売 |
| 従業員 | 180名 |
| 資本金 | 85,800,000円 |
| 住所 | 箕輪工場 〒399-4600 長野県上伊那郡箕輪町4964番地 本社・工場 〒394-0043 長野県岡谷市御倉町8番14号 |
| TEL | 箕輪工場 0265-79-7830(代) 本社・工場 0266-23-5511(代) |
| FAX | 箕輪工場 0265-79-9534 本社・工場 0266-24-0167(代) |
| URL | http://www.eguro.co.jp/ |